2009年11月─韓国のたび

11月25日 最終日 兵役のことを聞く 「アリラン」

 4泊5日の韓国の旅も、今日で終わります。旅行ツァーとは違って非常にゆったり組んでいただいたので、一箇所一箇所充実していました。ずっとお天気にめぐまれていましたが、日は小雨。

 今日はキム・スヨンさんに兵役のことをお聞きできました。

 「皆さん、息子を兵役に出すことをどうお考えですか?」
 「父親は、男の子だからたくましくなるからいいと言う方もいますが、母親は帰ってくるまで、無事でいてと心配が先に立ちます。でも、これは国民の義務ですから。この頃は、食べ物もいいし、厳しさも昔ほどでないと聞きますので安心していますが。
 兵役は2年半、ノムヒョンの時6ヶ月縮めるとの公約を出しました。防衛庁は2014年まで2ヶ月づつ、順次短くする方針を出し『約束が違う』との批判もでました。
 兵役検査に等級があって、体の弱い人などは兵役の変わりに福祉関係の施設のボランティアなどにまわされます。
 問題もあって、お金やずるい方法で兵役を逃れる人がいるのです。また、韓国には2重国籍の人もたくさんいますが、兵役が近づくと、韓国の国籍をすてて逃れる人がでてきたのです。だから、法律を変えました。兵役を終えなければ国籍を捨ててはいけないと。
 就職のときは、『兵役を終えた者』が条件になります。それは兵役を受けている人は一定の人材としての保障になるからです。つまり、高卒でないと兵役を受けられませんし、体格もしっかり丈夫だとの保障です。
 少子かも問題だし、不景気だと軍隊は人気です。そのまま軍人になる人もいますが、競争率が激しいときもあります」

 若い人が軟弱になっている・・との話も出ましたが、北朝鮮があるから軍隊は必要だとの思う反面、軍事ではなく友好を大事にとの世界の流れの中で、誰もが、普通の平穏な暮らしがしたい気持を強くしているのではないだろうか、と私は考えたことです。

 夕べは、キム・スヨンさんとスヨンさんの会社の社長さんが、最後の晩餐に招待してくださいました。
 
 社長さんは、日本の「九条」に大きな関心を持ってお出ででした。「私は日本に行ったとき、共産党の本部も訪問してきましたよ」とのうれしい報告もありましたが、「九条」があるからこそ、少なくても「自衛隊」としか言うことができないにほんの「軍隊」を、順次解消できるような時代を作ってゆきたいと強く思ったことです。

  
 「マッコリ」と呼ばれる韓国のお酒をたくさんいただきながら、楽しい晩餐でした。
 「日本の観光客は、あなたたちのような日程で来る方はあまりいません。ぜひ、韓国の歴史を知っていただき、友好を築いてゆきたいです」と歌ってくれた歌は「アリラン」でした。チユルラドの農民革命の地を訪れた私は、「アリラン」への心の入り方が今までとはまったく違ったものになっていました。

 もっとも近い外国であり、中国に並んで文化の面でも大きな影響を受けてきた韓国、そして、日本軍国主義が36年間にわたって植民地支配をしてきて国、韓国。
 その歴史、特に近代史・現代史の歴史で日本のやってきたことを私たちはあまりにも学ぶ機会が少ないのが現実です。
 学校教育では、侵略の歴史をゆがめて教える動きさえある中で、現場から学び、アジアの人民の思いに触れ、日本の未来の方向付けを確かなものにしたい、これが私の今回の旅の目的でした。
 3・1抗日運動につながってゆく、チユルラドの農民運動の末裔である、記念館の館長さんの話は、重いものがありました。「私たちは、日本人を憎んではいない。侵略者が悪いのだ」。

 あの侵略戦争に命がけで反対し、アジアの皆さんとともに日本軍国主義とたたかってきた唯一の政党、日本共産党が大きく伸びてこそ、平和と友好の輪を大きく広げることができる。その深い確信を、明日からの参議院選挙戦のエネルギーにしてゆきます。