2017年の旅

モルダウとスラブ舞曲のチェコとスロバキアへ

旅の最後に

 チェコとスロバキアの景色に入りこんだら、スメタナやドボルザークのあのメロディが自然に体の中で息づいてくるような風景が広がっていました。

 美しい国にも、そこには庶民のくらしと戦争の傷跡も刻まれており、たくさんの方にお会いして対話を交わしてきたことが旅の財産になっています。

 何年もたって旅を振り返った時、観光したところは記憶と感動がだんだん薄れていっていますが、人との出会いとそこで交わした対話の内容は鮮明に覚えています。違いを自覚し、リスペクトしながらの対話の中に旅が凝縮されているような気がします。
 その対話の中心には、安定した暮らしと自由な生き方、子どもに託した願いと教育の在り方、老後の暮らしなどなど、つまりは戦争では実現しえない平和への願いが根底にありました。

 チェコもスロバキアも、大地一時世界大戦、第二次世界大戦に巻き込まれ、国が一緒になったり別れたり、翻弄された国です。そして、いわゆる「共産主義」を乗り越えてきた国です。

 でも、レーニンとスターリンを一緒くたにされたときは、ああ、違うのになあ・・・日本共産党が北朝鮮や中国と一緒くたにされるのとおなじだなあ・・と思って聞いていましたが。いろいろな考えがあって当然、民主主義への道へのこの国の道程を思いました。日本も同じです。国民のたゆまぬ努力がなくては、民主主義は発展しません。

 肉とチーズ中心の食事は、やはりなれませんね。エネルギーの視察でドイツに行ったとき、ガイドしてくださった村上さんが「はじめはお寿司や刺身が浮かんで苦しかったが、いまはどうということはなくなった」と話していましたが、私はだめだなあと思います。

 またまた和食は優れものだと自覚を新たにしました。世界的に和食が見直されてからずいぶん経ちますが、現地でいつもなるほどと思います。
 野菜の食べ方がほんとに少ない。多量のバターと肉の油は、健康にいいとは言いにくい。男性女性を問わず、おなかの大きさは日本人の比ではない。
 肉食のデンマーク人が、同じ肉でもアザラシや魚などの海の肉を食べるイヌイット族よりずっと優位で心臓病が多かった、というデーターから、油には血をドロドロにするものとサラサラにするものがあるとわかって、和食は見直されてきました。優れものは大事にしたいですね。
 でも、チーズも肉もおいしかったですよ。もちろん、おいしさのトップはチェコビールでした!!昼間からさんざん飲みました。

 さて、来年はキューバに行きたいとの声があります。
 行く先が決まると、どんな国なのか知りたくなる。本を読む。「へえ・・」と新しい発見をする。旅はここからもう始まっています。

       (2017年6月7日  記)