ベトナムからのたより―平和と友好の旅

2011年9月25日 6日目 ハロン湾のクルーズ

ハロン湾

 一日かけて世界遺産のハロン湾のクルーズに出かけた。ハノイからハロンまでなんと3時間半かかった。だから船に乗っていた時間は3時間。しかし楽しい3時間だった。行った価値があった。
ベトナム料理 料金は一人約1万円だったが、食事付きで日本では経験したことのない大規模な鍾乳洞の見学料も込み、水上生活者が海にいけすをつくって魚を売っている場所にも立ち寄って、めずらしい魚をたくさん見ることもできたから、日本ではとうてい1万円ではできない経験だ。しかも、船上で作ってくれた料理は、ゆでエビをはじめ贅沢な食材で満腹満足。いけすで買った魚を料理してくれると聞いたが、出た料理だけでも食べれきれない量だったので、魚は見るだけにした。ついついワインも進み、海風を受けながらとてもぜいたくな気分だった。
ハロン湾・この中の一艘に乗りました しかも船は、エキゾチックで雰囲気のある20人は乗れる大きな船なのに、私たちファミリーと通訳の雪さんの4人だけの貸し切りだ。別に貸しきりにして欲しいとは頼まなかったのだが、そうなっていた。
 乗船の手続きは大変厳しく、時間がかかった。中国と目と鼻の先なので密出入国や麻薬の取り締まりのためだそうだ。今、中国との関係もそう良くはないし。
 景色はさすが世界遺産。すばらしいの一言。しかし、海を美しく保つには相当な努力が必要で苦労しているとのことだった。公衆衛生がまだ不十分だから、影響は大きく受けると、私も思った。進む工業化の汚染はどうだろうか。

トイレ事情

 驚いたのはトイレ。船に乗り込む前に桟橋近くの店のトイレに行ったら、おっかないおばさんが立ちはだかっていて「2000ドン」だと手を出す。支払ったら「フン」と指さしトイレットペーパーをもって行けと合図する。クルクルと使う分だけ巻き取って入ったトイレは、とても有料には値しないものだった。一角はお店の品物の置き場になっており、トイレのカギはしっかりかからない。美しくもなかった。まいった。
 ハロン湾からハノイにもどる途中で入ったお店のトイレは、私の背丈より短いちょっとした仕切りだけでドアがなかった。ドアのあるトイレは奥に二つだけ、こちらは「大」でドアなしは「小」だという。でも、近代化と共に、トイレも急速に改善を見ることだろう。
 雪さんに「あのトイレは恥ずかしくありませんか」と聞いたところ、「もちろん恥ずかしいですよ。でも、日本人がみんなと裸で温泉に入ることは恥ずかしくないのですか。私はそちらの方が恥ずかしい」そうだ。ふーん。

魅力的なアジア

 一週間の旅も無事に終わった。ハロン湾からハノイ空港に向った。午前0時05分発の飛行機に乗って名古屋セントレア空港に向う。魅力的な国、ベトナムにまた来る機会が果たしてあるだろうか。中国も韓国もベトナムも、アジアの諸国は日本とのつながりが非常に深い。
 ベトナムは中国とフランスに長いこと侵略占領され、第二次世界大戦後はアメリカが侵略してきた。日本も終戦間際の数年間、ベトナムに侵略し、力づくで田んぼを麻やジュートの栽培に切り替えさせ米は略奪し、200万人の餓死者を出すというひどいことをしてきたことを忘れてはならない。アメリカのベトナム侵略戦争の時はアメリカに協力し、日本の地からベトナムの友を殺しに黒い殺人機を飛び立たせたのだ。
 1975年の解放後、ベトナムはまだ36年しか経っていない。短い間にここまで発展し勢いを示しているベトナムが、通訳の雪さんの尊敬しているホーおじさんが描いた国に、どんなふうに発展して行くのだろうか。
 同時に、私たち日本もまずは「恥ずかしくない日本」、ルールある資本主義の国を建設するために力を出す時だ。野田政権も遅からず国民に見放されるだろう。国民が新しい政治の担い手の政党を求めている時、ここに共産党ありと胸を張り国民の信頼を受けいれる強い党になるために奮闘するときだと、疲れた体を翼にゆだねながら考えてきた。(終わり)